懐かしい「ハイラックスサーフ」最新モデルあるってマジ!?
2024年、トヨタの米国法人は「4ランナー」をフルモデルチェンジしました。15年ぶりに刷新した第6世代は、かつて日本で人気だった「ハイラックスサーフ」後継モデルであることから、日本のクルマ好きの間でも注目を集めています。
ハイラックスサーフの国内復活を期待する声も聞かれますが、日本導入の可能性はあるのでしょうか。

最新版「ハイラックスサーフ」が超カッコいい!
最新版「ハイラックスサーフ」が超カッコいい!4ランナーは、ピックアップトラック「ハイラックス」をベースとしたSUVとして誕生しました。
【画像】超カッコいい! これがトヨタの「“最新”ハイラックスサーフ」です! 画像で見る(30枚以上)
日本では「ハイラックスサーフ」の名で4代目まで販売されましたが、2009年に販売を終了しています。
いっぽう、4ランナーは北米市場を中心に独自の進化を続けました。
最新型は初代以来のハイラックスサーフの系譜を受け継ぐものの、近年は主に北米のニーズに合わせて開発されています。
トヨタの最新技術が投入され大幅に進化しており、大型SUV「ランドクルーザー」シリーズなどと共通の堅牢なラダーフレーム構造「TNGA-F」を採用し、基本性能を高めました。
パワートレインは、標準の2.4リッター直列4気筒ガソリンターボ「i-FORCE」(最高出力278馬力)と、同ハイブリッド「i-FORCE MAX」(システム最高出力326馬力)の2種類を設定し、8速ATが組み合わされます。
駆動方式は2WD、パートタイム4WD、フルタイム4WDが用意されます。
内外装デザインも一新され、外観は力強さとモダンさを兼ね備えています。
インテリアには最大14インチの大型タッチスクリーンやフルデジタルメータークラスターが設定され、コネクティビティ機能も最新です。
安全装備は「Toyota Safety Sense 3.0」が全グレードに標準装備。歴代モデルの象徴である昇降可能なパワーリアウィンドウも継承されているのも往年のファンには嬉しいところでしょう。
オフロード性能を高める機能も充実しており、「マルチテレインセレクト」や「クロールコントロール」、一部グレードには「スタビライザーディスコネクトメカニズム」(SDM)なども採用されています。
このように魅力的な最新の4ランナーですが、日本市場への導入には複数の大きな障壁が存在します。
最新「4ランナー」日本導入の壁とは
最新4ランナー国内導入に対し、最大の課題はボディサイズです。
4ランナーは全長約4950mmで、全幅は標準グレードでも約1980mm、オフロード向けグレードでは約2030mmにも達します。

全長5m級の大型ボディで迫力満点の最新版「4ランナー」だが…
全長5m級の大型ボディで迫力満点の最新版「4ランナー」だが…これはランドクルーザーと同等の大きさであり、日本の道路・駐車環境では扱いにくさが懸念されます。
次に決定的なのが、商品ラインナップ上の問題です。
日本市場には、同じTNGA-Fプラットフォームを採用し、サイズや性能特性が極めて近い「ランドクルーザー250」が既に存在します。
4ランナーとの明確な差別化は難しく、カニバリゼーション(共食い)を起こす可能性が高くなります。
トヨタとしては、国内の本格オフロードSUV市場はランドクルーザーブランドに注力する方が合理的と考えられます。
加えて、右ハンドル仕様に関する課題もあります。
現状、左ハンドル市場(主に北米)向けに開発・生産されており、日本市場のためだけに右ハンドル仕様を開発・生産するには相応の投資が必要です。
オーストラリアなど他の主要な右ハンドル市場でも4ランナーは現在販売されておらず、開発へのインセンティブは低いと考えられます。
さらに、日本のSUV市場の特性も考慮すべき点です。
日本のSUV市場は活況ですが、中心は「ヤリスクロス」「ライズ」や、ホンダ「ヴェゼル」「WR-V」といった、よりコンパクトで燃費性能に優れる乗用車的なクロスオーバーSUVです。
本格的なラダーフレーム構造を持つ大型SUVの市場は、ランドクルーザーシリーズが存在するものの、全体から見ればニッチなセグメントです。
これらの点を総合的に考慮すると、4ランナーが日本市場に正規導入される可能性は、残念ながら極めて低いと言わざるを得ません。
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往年のハイラックスサーフへのノスタルジアや、デザインへの関心は高いものの、車両サイズ、ランドクルーザー250との競合、右ハンドル化のコスト、そして日本の市場特性といった要因が導入を阻む大きな壁となっています。
ハイラックスサーフの記憶は残りますが、4ランナーはこの先も北米で歴史を刻むことになりそうです。