23/04/2025 · 5 ヶ月前

モーターだけで73km走る! 電動化されたトヨタ「ヴェルファイア」は広くて静かで快適!! 快適性重視するなら「PHEV一択」です


世界的に売れているPHEV機構が人気の「アルヴェル」に登場

 トヨタの超人気ミニバン「アルファード」と「ヴェルファイア」のパワートレインに、PHEV(プラグインハイブリッド)が追加されました。今回はそのうち「ヴェルファイア エグゼクティブラウンジ プラグインハイブリッド」に試乗。PHEVの魅力を体験してみました。

トヨタ「ヴェルファイア エグゼクティブラウンジ プラグインハイブリッド」

【画像】「えっ!…」これが格上の快適性を手に入れたトヨタ「ヴェルファイア」のPHEVモデルです(30枚以上)

 実は今、PHEVの販売台数は世界的に増加傾向にあります。

 ヨーロッパは少し前まで“BEV(電気自動車)一色”というムードでしたが、ここへきてそれが弱まり、代わりにHEV(ハイブリッド)やPHEVの販売が伸びています。

 一方“BEVじゃなければクルマじゃない”というくらいBEV化が著しかった中国沿岸部でも、PHEVの販売が伸びています。BEVのイメージが強く、世界各地で飛ぶ鳥を落とす勢いの中国メーカー・BYDでも、エンジン搭載車、特にPHEVの販売ボリュームが増加しているのです。

 欧州では一般的に、BEVの販売台数にPHEVをカウントしており、PHEVでもBEVに近い優遇を受けられます。同様に中国も、PHEVは“新エネルギー車”に含まれており、補助金の対象、もしくは登録制限の除外となります。こうした優遇措置も、PHEVの販売が世界的に伸びている要因といえるでしょう。

 PHEVは、外部から充電可能な大容量バッテリーを搭載するHEV、と考えればいいでしょう。“外部から充電可能”というのは、充電器やコンセントにクルマにつなぎ、バッテリーに電気を蓄えられることを意味します。

 そのメリットは、エンジンが停止した状態でのモーターだけで走れる距離が、HEVより格段に長いこと。新しいPHEVは、カタログスペックにおける“BEV走行距離”が100km前後のモデルが一般的となっています。

 もちろん、エンジンが停止している状態では、走行中であっても燃料を消費しません。つまり、多くの人にとって日常的に充電することを前提にすれば、PHEVは普段の行動範囲ならば燃料を消費せずに走れると考えていいでしょう。

 また、契約プラン次第ではありますが、自宅などで充電すればエネルギーコストを安く抑えられるのも魅力的。家庭や企業などが設置している普通充電器を使う場合、同じ距離を燃料を燃やして走る場合に比べてローコストで済みます(公共の急速充電器を使う場合はさほど安くありません)。

 一方、PHEVのデメリットは、エンジン車やHEVに比べて車両価格が高いこと。PHEVは大きなバッテリーを搭載しているのが特徴ですが、バッテリーはまだまだ高価なので、大容量化すればするほど車両価格へダイレクトに跳ね返ります。同じ車種でもPHEVの方が高額なのは避けようがありません。

 またPHEVは、外部充電せず通常のHEVと同じように使うこともできますが、その際はエネルギーロスが大きい分、HEVより燃費が悪くなりがち。そのため、自宅などに充電環境がない人にとっては、宝の持ち腐れとなってしまいます。

●ルックスや装備面でのHEVとの違いはごくわずか

 さて、そんなPHEVの波が、高級ミニバンのカテゴリーにも押し寄せてきました。トヨタ「アルファード」と「ヴェルファイア」のパワートレイン・ラインナップにPHEVが加わったのです。

「アルファード」と「ヴェルファイア」のPHEVは、HEVと同様、2.4リッターガソリンエンジンにモーターを組み合わせたもの。ただし、前輪駆動車も選べるHEVに対し、PHEVは4WDのみの設定となります。

 効率面での最適化などから、エンジンの最高出力や最大トルクはHEV(190ps/236Nm)に対して177ps/219Nmとダウンしていますが、モーターの出力はフロントが182psでリアは54psと、どちらも共通です。

 同じトヨタ車でも、「RAV4」や「ハリアー」、「クラウン・スポーツ」などは、HEVよりPHEVの方がモーター出力が高められていますが、「アルファード」と「ヴェルファイア」のPHEVはそうした設定ではないのが面白いところです。

 スタイリングは、PHEVだからといって特別な演出など見られません。リアゲートに「PHEV」のエンブレムが貼られるほかは、「アルファード」ではタイヤサイズが17インチのHEVから19インチへと2インチアップに。一方、HEVでも19インチを履く「ヴェルファイア」は、ホイールの塗装がスパッタリング仕様の、よりきらびやかなタイプになるのが識別点です。

 そして、装備面の違いもごくわずか。同じグレードどうし(PHEVは最上級の「エグゼクティブラウンジ」だけの設定)で比べると、PHEVはステアリングに添えられる木目が“本杢”となり、HEVでは3人がけができるサードシートがPHEVでは2名がけとなる程度です。

 ちなみに、サードシートの設定変更の理由を開発者にたずねると「クルマのキャラクターに合わせて」との回答でした。

 気になるのは、使い勝手に関して。ラゲッジスペースのフロア下スペースが、PHEVは浅くなっているのです。

 これは、大型バッテリーを床下に搭載することで、排気系の消音器の位置が荷室フロア下に位置するようになったため。ただし、床下の収納スペースが小さくなっただけで、シートアレンジのパターンや荷室容量などには変更はありません。

HEVよりも走行時の快適性に優れるPHEV

 冒頭でPHEVのメリットを挙げましたが、今回、「ヴェルファイア」のPHEVに試乗して感じたのは、快適性の向上においてもPHEV化が大きく貢献しているということでした。

トヨタ「ヴェルファイア エグゼクティブラウンジ プラグインハイブリッド」

「ヴェルファイア」のPHEVは車両重量2470kgとヘビー級ですが、カタログスペックにおける“BEV走行距離”は73kmを記録。駆動用バッテリーの残量があればエンジンは始動せずモーターだけで走れることから、走行中も静粛性抜群でHEVより快適度が高いのです。

「アルファード」や「ヴェルファイア」のようなプレミアムカーは、よりハイレベルな快適性を求めてPHEVを選ぶのもアリだな、と感じさせてくれます。

 その上で、「アルファード」や「ヴェルファイア」のPHEVは大容量バッテリーを搭載していることから、「ハイブリッド」モード時もエンジンの回転数が上がりにくく、結果的に静粛性の向上につながっています。

 ちなみに、「アルファード」と「ヴェルファイア」は一部のボディ補強やサスペンション設定などが異なっており、「アルファード」はより快適性を求めた味つけに、「ヴェルファイア」は操縦性を高めた味つけとなっています。

 開発者によると「PHEVはHEVに比べてその差が小さい」とのことですが、確かに試乗した「ヴェルファイア」のPHEVは、HEVに比べて乗り心地が良化している印象。

 PHEVのサスペンションは、「重量増に対応すべくバネが硬くなっているものの、低重心化を受けてショックアブソーバーはやわらかくしている」そうで、結果的に乗り心地がHEVより落ち着いた印象に仕上がっていました。

●「アルヴェル」のPHEVはどんなユーザーと好相性?

 さて、そんな「アルファード」と「ヴェルファイア」のPHEVは、どんなユーザーとマッチングがいいのでしょうか?

 何よりおすすめは、極上の快適性を味わいたいと考えるユーザーです。コンフォート性能に関しては、PHEVの静粛性と乗り心地はHEVを上回っているので、最高レベルの快適性をねらうのであればPHEV一択でしょう。

 また「とにかく燃料の消費量を減らしたい人」や、「できるだけモーターで走りたいけれど、BEVを選ぶのはまだ抵抗がある」といった人にも、PHEVは最適な選択といえるでしょう。

 もちろん、身近に充電設備がない人はPHEVのメリットを得にくいものの、それでもエンジン回転数の低下による静粛性の向上や乗り心地の良化といった美点は感じられるので、PHEVを選ぶ価値はしっかりあります。

「定期的に充電しなければPHEVのメリットを得られない」となりがちなPHEVですが、それ以外の美点をしっかり盛り込んできたトヨタのクルマづくりは、さすがというほかありません。

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