米国ホンダが好調です。2024年は、ホンダとアキュラで142万3857台を販売、前年比で8.8%もの増加となりました。なかでも好調なのがCR-VとHR-V。特にCR-Vに関しては、前年比11%増となる402791台を記録。これはCR-Vとして初となるだけでなく、ホンダとしても2001年のアコード以来の実績となるそうです。
日本では、外部充電可能なプラグイン機能を持った燃料電池車「e:FCEV」のみのラインアップとなっている現行CR-Vですが、米国ではガソリンターボ車のほか、ハイブリッド車(e:HEV)もラインアップされており、ハイブリッド車はCR-V販売の50%を占めるほど人気となっているそう。
CR-V e:HEVについてご紹介しながら、日本導入の可能性について考えてみましょう。
■理想的なパワートレインを備えたe:FCEVだが
2024年7月の国内販売開始からまもなく1年を迎える、ホンダの「CR-V e:FCEV」。日本の自動車メーカーが発売するモデルとしては初となる外部充電可能なプラグイン機能を持った燃料電池車であり、水素燃料一充填あたりの走行距離は621km、EV走行可能距離は約61kmというスペック。SUVならではの利便性の高さも兼ね備えるなど、大変魅力的なモデルに仕上がっています。

しかしながら、車両本体価格は税込809万円とかなりの高額、しかもリース販売のみ。CEV補助金として2025年度は255万円が交付されるため、実質550万円で最新のプラグイン機能を持った燃料電池車が手に入ると考えればお得なのかもしれませんが、一般ユーザーとしては、e:HEVのほうが欲しかった、というのが本音でしょう。
■米国で総合5位に入るほど評価されているのに、日本で乗れない!?
米国で販売されているCR-V e:HEVは、2.0L 直4直噴ガソリンエンジン+2モーターのハイブリッド。ちなみにガソリンターボ車は1.5L 直4直噴ガソリンVTECターボです。
この2.0Lハイブリッドユニットは、エンジンが最高出力145HP(147PS)、最大トルク138 lb-ft(187Nm)で、駆動用モーターが181 HP(183PS)、最大トルク247lb-ft(335Nm)と、ミドルクラスSUVとしては相当にパワフルなスペックです。燃費性能も、市街地モードが43マイル/ガロン(18.2km/L)、高速モードが36(15.3)、複合モードが40(17.0)と、十分に優秀な性能となっています(燃費はすべて2WDモデル)。

もちろん、内外装のデザインや、SUVとしての使い勝手なども申し分なく、2024年北米新車販売ランキングで総合5位に入るほど、米国で評価されています。価格はハイブリッド車が3万4650ドル(約500万円)、ガソリンターボ車は3万100ドル(約430万円)と、e:FCEV(米国価格は5万ドル、約720万円)と比べてはるかにリーズナブルです。
■タイに右ハンドル仕様があるじゃないか!!
CR-Vは、先代モデルの終了をもって、生産が全て海外工場に移管されてしまっており、日本で販売されているCR-V e:FCEVも北米工場からの輸入車。e:HEVやガソリンターボも、e:FCEV同様に米国から輸入するとなると、輸送費のほか、右ハンドル化やその他の法規対応など日本仕様に仕立てる必要があります。当然コストは増大し、そのコストは、販売価格に跳ね返ることに。

燃料電池車のように(高額車であることから)多少のコストの跳ね返りを許容できて、かつ多額の補助金が期待できるのであれば受け止められても、ハイブリッド車やガソリンターボ車では、許容することができない跳ね返りとなってしまうことでしょう。
ただ実は、現行CR-Vのガソリンターボ車とe:HEVには、右ハンドル仕様が存在します。東南アジアのタイでは、右ハンドル仕様のCR-Vを生産しているのです。

タイは日本と同じく左側通行の国。タイは、日本で販売しているアコードを生産している国でもあります。筆者は、2025年3月末にタイで行われたバンコク国際モーターショーで、CR-Vのハイブリッド車とガソリンターボ車を見てきましたが、「e:HEV RS Modulo」といったスポーツグレードまで用意されており、ホンダファンならばぜひとも手に入れたいモデルだと感じました。
もちろん、このまま輸入できる右ハンドル仕様であっても、外国から輸入するとなると、ガソリン車が税込330万円から、ハイブリッド車は390万円からという価格だった先代CR-Vの価格を大きく上回る、おそらくハイブリッド車で400万円後半から500万円台という価格になってしまうかもしれませんが、それでもヴェゼルやZR-Vよりもサイズが大きくて上質なクルマを求めているホンダファンにとっては、このくらいの価格であれば、許容範囲かもしれません。
一部情報では、2025年秋にもハイブリッドモデルが国内導入されるとされています。2025年秋といえば、ジャパンモビリティショー2025が開催される時期。はたしてジャパンモビリティショー2025で何らかの発表があるのか!?? 今後の動向に期待したいです。
文:吉川賢一
写真:HONDA、エムスリープロダクション