面白ギミック満載のスーパースポーツ4WD!! 永遠のキワモノスーパーカー・三菱 GTO
たくさん売れたわけじゃないが何年経っても覚えている、印象的だったクルマを取り上げるこの企画。今回は今見ても独特ハッタリ感満載の「永遠のキワモノ」、三菱 GTOが登場。なんとも言えないワルモノっぽさにシビれるぜ!?
※本稿は2025年2月のものです
文:小沢コージ/写真:茂呂幸正
初出:『ベストカー』2025年3月10日号
https://www.sompo-direct.co.jp/otona/ldp/top/general.html?cid=QBC201&utm_source=bestcar&utm_medium=ndisplay_nor000&utm_campaign=bannar&utm_content=bestcar;ndisplay_nor000;bannar;xx;;&utm_segment=xx
【画像ギャラリー】小さな夢も見れないこんな世の中に……ギミック満載スポーツ4WD!! 案外よさげな三菱 GTO(24枚)
一見ミドシップなのに中身はディアマンテ!?
1990年から2001年まで販売された三菱 GTO(中古相場:70~420万円)
なんなんだろう? このキワモノ感でありハッタリ感。発売から35年たっても独特ワル目立ちオーラは変わらない。
そう、バブル期の三菱が産んだ奇天烈4WDスポーツ、GTOだ。同年出たリアルミドシップ2シーターのホンダ NSXを王道とするならGTOはある意味カタキ役。なんせキャッチコピーは『スポーツは、ライバルがいるから面白い』だしね。
しかもヘッドライトはザ・スーパーカーたるリトラクタブル式。真横からみると、これもしやミドシップか? と戸惑うフォルムをしており、サイドのエアダムは超スーパーカーっぽいが実は完全ダミー。狭いがリアシートもあるのだ。
実際コイツの骨格はエンジン横置き系4駆&FFハードトップのディアマンテで、中に座ると一目瞭然。インパネはFFらしく切り立ってて、絶妙にディアマンテっぽい。そこに無理やりスポーティな3連メーターやスティックシフトが備わり天井はヤケに低い。
全長ほぼ4.6mと長いが、FF骨格に無理やりミドシップ風ガワを被せたからか、全高1.3m弱の低さもあって身長175cmの小沢が運転席に座ると、頭が天井に着きそうになるし、すんなり顔が外に出ない。リアシートはさらに狭く完全に首を曲げた状態になる。
だが、それでいいのだ。ポルシェ911のリアにしろ激狭だし、フツーこの手は2シーター。4人乗れるだけでエライ。
さらにGTOが凄いのはエンジンパワーで、今回借りたGTO SRは3L・V6ノンターボの225psだが、人気のツインターボは当時のNSXと同じ280ps。最大トルクはNSXを凌駕する43.0kgm超えで、シフトチェンジの少ない4ATと組み合わされると爆発的加速を発揮する。
正直、無理やりFFシャシーに横置き3Lターボを積んじゃった感じもあって、どっかん加速の直線番長だしステアリングフィールはイマイチ。NSXのリアミドシップだけが持つナチュラルなフィールやソリッドさとは対極的だが、このドーピング感はアリ。
さらに言うとターボのブレーキはアルミ製4ポッドキャリパーでやたらよく利くし、5MTはドイツのゲトラグ製でフィールよし。
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今となっては「先見の明」と言えなくもない面白ギミック満載
レア車専門バクヤスオートでリトラを廃止した4灯プロジェクター式1996年式GTO SRが走行10万kmで100万円台。コイツは安い!
レア車専門バクヤスオートでリトラを廃止した4灯プロジェクター式1996年式GTO SRが走行10万kmで100万円台。コイツは安い!
面白いのは、恐らく三菱が先鞭を付けたアクティブエキゾーストなるエンジン排気音切替システムや、アクティブエアロシステムも付けられること。今回のSRにはなかったが、スイッチポンでエンジンの重低音が楽しめたり、空力が変わるのは秀逸。
今ではエンジン音をスピーカーから増幅して出したり、可変スポイラーも当たり前になったが、すべてはGTOのハッタリフェイク感が原点なのだ(ウソ)。
また、この速さとスタイリングを持ちつつ人が一応4人乗れたり、浅いが広めのラゲッジスペースや、基本ハッチバックボディなので、その気になればスキーやスノボも積めるのは助かる。
中古価格は最近の価格高騰でカリカリにチューンしたツインターボ4WDは4WSやCDオーディオ付きで400万円超えだし、スパルタンなスポーツサスペンション付きのMRグレードにしろお高め。
しかし今回のノンターボのSRはパワー低めな分、カリカリチューンはしてないし、距離のわりにヤレも少なめ。走りの刺激は薄めだけど安心して買えてグーよ!
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三菱 GTO伝説1:一見スーパースポーツ……中身はFF系ディアマンテ
サイドのインテークは当初はダミーだったが、マイナーチェンジ時に実際に孔が開けられた
サイドのインテークは当初はダミーだったが、マイナーチェンジ時に実際に孔が開けられた
フェラーリ288GTO(グランツーリスモオモロゲート)同様、レースの公認取得車両を示すネーミングや、一瞬リアミドシップ風にも見える三菱GTOだが、中身はFF系ハードトップのディアマンテ。
前期のボンネットの膨らみなどは、高すぎるストラットタワーを隠すため。でもその独特ハッタリ感がGTO最大の魅力かも?
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三菱 GTO伝説2:時代先読みギミック! アクティブエキゾースト他
GTO独特のハッタリ感をさらに高めたのが面白ギミック。
四輪操舵の4WSはもちろん、ツインターボに付いてたアクティブエアロシステムは時速80km以上でフロントスカートが50mm下側へせり出し、リアスポイラーは角度が14度プラス。
スイッチ操作でスポーティ音質のノーマルとサイレントを切り替えるアクティブエキゾーストも◎!
●小沢コージ氏の評価
・タイムスリップ度:★★★
・レア度:★★
・お金かかりそう度:★★★
・乗って楽しい度:★★★★
バブルならではのぺったんこクーペだが、妖しいムードは今も健在。狭いしツインターボがちと心配だがギリ4人乗れて案外使える。
●三菱 GTO 懐かしスペック
・カテゴリー:4人乗り3ドアクーペ
・全長×全幅×全高:4590×1840×1285mm
・ホイールベース:2470mm
・車両重量:1650kg
・エンジン:3L・V型6気筒DOHC
・最高出力/最大トルク:225ps/28.0kgm
・ギアボックス:4速AT(5速MT)
・駆動方式:フルタイム4WD
・サスペンション:前:ストラット式 後:ダブルウィッシュボーン式
・国内累計販売台数:18万2867台
・ベース車:ディアマンテ
・コピー:スポーツは、ライバルがいるから、面白い。
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投稿 永遠の[キワモノスーパーカー]と言えば三菱[GTO]一択でしょ は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。