なんと61年前のクルマ、そう感じさせないのがモーガン イギリス伝統のスポーツカーの魅力だ
今年で10回目を迎えたオートモビル・カウンシル。旧車を軸に自動車や自動車趣味に関わるもの多数展示、販売されるイベントである。自動車メーカーやインポーターだけではなく、自動車関連ショップの出展も多い。ここでは旧車のスペシャル・ショップに並べられた注目のクルマを紹介。古き良きデザインを今もなお継承しているイギリスのブランド、「モーガン」のオープン・モデルだ。【写真12点】なんと61年前のクルマ、そう感じさせないのがモーガン イギリス伝統のスポーツカーの魅力だの詳細画像をチェック
1909年に設立
クラシック・スポーツカーをハンドビルドするイギリスの自動車メーカーであるモーガン・モーター・カンパニーは、ヘンリー・フレデリック・スタンリー・モーガンによって1909年に設立された。
シルエットは変わらず
創業から100年以上経ったいまでも伝統的な製法を用いて造った魅力的なスポーツカーをデリバリーしており、数多くの自動車趣味人が熟練職人の技によって生み出されたモーガンを大切にしている。
長きにわたって同じシルエットのスポーツカーを造り続けているので、門外漢には年式やグレードが分からない点が特徴で、正直に告白すると筆者もモーガンの写真を見て概要を当てるテストがあったら確実に赤点をとると思う。
3輪から4輪へ
創業当初のモーガンは、税制面で有利だった3輪自動車の生産で名を馳せた。フロントにエンジンがあり、前2輪、後1輪レイアウトとなっているスリーホイーラーはサイクルカーに属する気軽な移動手段として人々の足として親しまれたのだ。
その後、市場動向の変化に対応するかたちでモーガンも4輪車を生産することになり、1936年にリリースしたのが「4/4」である。モーガン初の4輪車となった4/4の車名は4輪と4気筒エンジンを意味したもので、ユーザーにスリーホイーラーとは異なるクルマであることをネーミングでもアピールした。
まさに自動車界の生きた化石
福岡県北九州市にあるVintage Car VISCO(ヴィンテージ・カー・ヴィスコ)がオートモビル・カウンシル2025で展示したのは1964年の「モーガン・プラス4」。つまり61年前に生産されたクルマということになる。会場での税込車両販売価格は786万5000円であった。
プラス4は4/4の上級モデルとして1950年に登場。現在も97%のコンポーネンツが新しくなったが「Plus Four」という名でニューモデルがラインナップされており、まさに自動車界の生きた化石だといえる。
61年の時間を感じさせない
1964年式の現車はVintage Car VISCOに入庫した後に外装をペイント。元の色はマルーンだったという。シートの張り替えなども実施しており、美しいブラックレザー・インテリアに座って爽快なドライブを楽しめるが、計器類やウッドパーツなどは基本的に往時の物を使用しており、オリジナル度を損なわないセンスのいいリフレッシュを行っている。
細かくチェックすると年式相応の味わい深いヤレを確認できる部分もあるが、61年前に生産されたクルマであることを感じさせない質感の高さは現車の魅力のひとつだといえる。エンジン、トランスミッション、幌の状態もいいので、展示イベントはもちろん、クラシックカーラリーにエントリーしても楽しめるはずだ。
この年代のモーガンはロードスターという車両のキャラクターも相まってなかなかイイ個体が出てこないので、良質車を探しているファンはこの機会を見逃さないようにして欲しい。
文・写真=高桑秀典
(ENGINE WEBオリジナル)