スーパーカー並の加速力なのに日常では“ふつう”に使える! ボルボ「EX30」に追加されたツインモーター仕様の「究極の2面性」とは?
0-100km/h加速はボルボ史上最速の3.6秒
2023年秋に日本で発売されたボルボのコンパクトSUVタイプの電気自動車「EX30」は、これまで選択肢がリアにシングルモーターを搭載した2WDの1種類のみだったところ、2025年夏に一気に5種類に増えました。
同時に、外装色変更、ドライブモードおよびワンペダルドライブの設定変更、フロントシートクッションの一部デザイン変更、ランクマークエンブレム追加などのモデルイヤー変更がありました。
【画像】アクセル踏んだら“ワープ”する!? 速すぎるボルボ「EX30」ツインモーターを写真で見る(32枚)
新たに加わった4種類の内訳は、少し前にレポートした「EX30クロスカントリー」や、標準のEX30についてもツインモーターのAWDをはじめ、シングルモーターの2WDについてもLFP(リン酸鉄リチウムイオン)電池を採用して低価格を実現したエントリーモデルや、これまでに「Ultra」に加えて選択肢拡大のための「Plus」が挙げられます。
その中から試乗したのは、ハイパフォーマンス性能とAWD性能を訴求した「EX30 Ultra Twin Motor Performance」という標準のEX30の最上級モデルです。
相模湾に面した神奈川県の大磯港を拠点に、西湘バイパスや箱根をドライブしました。
ボルボ「EX30 Ultra Twin Motor Performance」の走り
最高出力200kW(272馬力)、最大トルク343Nmのリアモーターに加えて、フロントに同115kW(156馬力)で200Nmというモーターを搭載。車両重量は1880kgで、車検証によると、前軸重950kg、後軸重930kgと好バランスとなっています。
69kWhのバッテリーを搭載し、WLTCモード航続距離は535kmと、シングルモーターの560kmとそう大きな差はありません。
ポイントはなんといっても動力性能です。0-100km/h加速がわずか3.6秒という、ひとむかし前のスーパーカー並の速さを実現しているのです。
車両価格は629万円、CEV補助金は36万円となっています。
ドライブフィールは、既存のシングルモーターのEX30とは少なからず違っていて、とにかくとても速くて乗りやすいことが印象的でした。操縦安定性も抜群に高いです。
驚いたのは、やはり0-100km/h加速が3秒台半ばというとおりの速さです。
アクセルを踏み込むと強烈にみるみる加速していくのは、なかなかインパクトがあります。5秒台のシングルモーターでもけっこう速いと感じていたのですが、さらに段違いに速いです。
ボルボでいう「R」系ではない、性能の高さを訴求するわけでもない一般的な量販モデルでありながら、これほど高い性能を持っているクルマなんて、他に心当たりがありません。
ドライブモードは標準とパフォーマンスとレンジが選べて、パフォーマンスにするとかなりのもの。いい意味でちょっと気持ち悪いぐらいの加速Gをおみまいしてくれます。
いざとなればそこまでできる実力を持っていますが、必要がないときには普通に運転すれば、手頃なサイズのオシャレなBEVとしてごく普通に乗れてしまいます。それも当初のシングルモーターで見受けられた飛び出し感も薄れて、より車速をコントロールしやすくなっています。
操縦安定性が極めて高いツインモーター仕様
動力性能だけではありません。ツインモーターは足まわりの仕上がりも素晴らしくて驚きました。
シングルモーターでも感じた俊敏さを損なうことなく、動きに落ち着きが出ていて、操縦安定性が極めて高いのです。
ボルボ「EX30 Ultra Twin Motor Performance」の走り
ステアリングは軽く、微舵から素直に応答し、これぐらい切ってこれぐらいのスピードならこんなふうに曲がりたいとドライバーは思っているんだろうというのを読み取るかのような動き方をします。
進みたい方向に向けてステアリングを切ってアクセルを踏むと、リアが押してくれて小さな舵角を維持したままクルマが自動的にバランスを取ってその方向に行ってくれる感じです。重心が低く、前後のモーターを独立して最適に駆動力を制御できるEVだからこそ、こうしたこともできるわけです。
さらに、サスペンションもより洗練された印象を受けました。けっこうきつくうねった路面でも、しなやかにタイヤが追従して、ステアリングを切ったとおりにグイグイと曲がっていけて、挙動が安定しています。おかげで気持ちよーく走ることができて、安心感も高いのです。
シングルモーターはやや足まわりが硬く、同じような路面を走ると跳ね気味だったことを思うと、そこもけっこう違います。
一方のクロスカントリーは、足まわりがソフトで乗り心地が良い半面、ワイディングを攻めるには向いていない印象でした。AWDが欲しくてスポーティな走りを求める人には、こちらのほうが好まれるに違いありません。
降雪地に住んでいるからAWDが欲しい!という人にはもちろんですが、それだけではぜんぜん済まないようなパフォーマンスの持ち主です。
それでいて価格はシングルモーターの50万円高。実はインチアップしているので、実質的にはざっくり40万円差にすぎません。それでこの衝撃的な性能と驚愕の完成度が手に入ると思えば、安いものだと思いませんか?
ボルボ「EX30 Ultra Twin Motor Performance」のインテリア
●VOLVO EX30 Ultra Twin Motor Performance
ボルボEX30 ウルトラ ツインモーター パフォーマンス
・車両本体価格(消費税込):629万円
・オプション込試乗車価格(消費税込):651万2750円
・全長:4235mm
・全幅:1835mm
・全高:1550mm
・ホイールベース:2650mm
・車両重量:1880kg
・モーター最高出力(前):156ps/6000−6500rpm
・モーター最高出力(後):272ps/6500−8000rpm
・モーター最大トルク(前):200Nm/5000rpm
・モーター最大トルク(後):343Nm/5345rpm
・一充電走行可能距離:535km
・交流電力量消費率:159Wh/km
・駆動方式:AWD
・乗車定員:5名